ユーチューブに触れずには、ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)やSNSマーケティングを語れないでしょう。ユーチューブでは、誰でも自作ビデオをアップして他者に閲覧してもらえ、さまざまなビデオを無料で見ることができます。とても楽しい人気サイトです。
グーグルに16億ドルで買収されるまで、全く利益を出していなかった(回線費用が莫大で完全に赤字だったため、収益モデルが全く見えてこなかった)、まさに現代的な存在です。
しかし、一カ月に4千万人以上のビジターを誇るサイトはなかなかありません。ここに企業や選挙候補者は目を付け、とても面白いことを試みました。7月、8人の民主党大統領候補者がCNNとユーチューブ共催の討論会に臨み、ユーチューブユーザーからの質問に答えたのです。その討論の模様は現在でもオンラインで視聴可能です。
ローカルの政治討論会に変えてしまった、市民参加型の画期的な試みだったといえるでしょう。
ちなみに、共和党候補者によるユーチューブ討論会は11月に予定されていますが、既に少なくともオンラインの世界において、自分で自分の首を絞めた候補者がいます。
オンラインを語る前にまず理解を
私は「オンラインを理解せずに語るべからず賞」を、共和党の大統領候補者ミット・ロムニー氏にあげたいです(微笑)。政治家の選挙運動においても、企業と同じくマーケティング部署があり、流行のマーケティング手法などには敏感です。しかしあいにく、これまた企業と同じく、「皆がやっているから私もやらなくては!」という思考に走りがち。不十分な理解のまま動いて、失敗する例もあります。敏感になってはいても十分に理解していなければ、オンラインの世界では、狙っている層に逆効果を及ぼす可能性があるのです。ロムニー氏は自分の支持層を意識し「アダルト系の画像を子供の手に入りにくくしたい」という公約を掲げています。そして、「インターネット上で子供をより安全にしたい」として、ある演説にてユーチューブを痛烈に批判したのです。「ユーチューブは見知らぬ人と友達になれるサイトであるが、ユーザー層を調べたところ、2万9000人の性犯罪者がいた」と語ったのです(要するに、危険に満ちたウェブサイトであると言い放ったのです)。
しかし、メンバー層に2万9000人の性犯罪者がいることが発覚したのは、実はユーチューブではなくマイスペースだったのです。これだけでもかなり痛い誤解ですが、批判すべきであったマイスペースにロムニー氏は自己紹介ページを持っていました(溜息)。
ロムニー氏がCNNとユーチューブ共催の討論会に参加をするかどうかは未定のようですが、「ユー
チューブ討論会には威厳が足りない」という主旨の発言もあったとか……。オンラインユーザーの反感をどこまで背負い込むつもりなのでしょう。
最近、共和党候補者の何人かは「オンラインを利用してはいるものの、ユーザーとの対話を避けてしまうため全くプラスに変えられない」と批判されています。全体的に共和党候補者が、ウェブ上の募金集めでは民主党候補者に負けている原因とも言われています
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