2007年9月1日土曜日

「ウェブ業者の見分け方」USFL連載その12(3月3週号)

12回目はUSフロントライン回3月3週号USFLに入っています。
コラム12回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

できない注文でも
「できます!」

どんなウェブ業者さんでも、営業トークだけを聞くと、素晴らしい結果をもたらしてくれるに違いないと思ってしまいます。特にIT業界は、聞きなれない専門用語も多く、一般の方には分かり難い世界でしょうから(おそらく私が、保険屋さんから営業を受けているときの感覚と同じ?)
日系・米系問わず、営業トークにまんまと乗せられ、無価値なものに大金を投じてしまったという話をよく聞きます。きちんと統計をとったわけではないのですが、本当にかなりの多さです。ここでは書けないくらい……(汗)。

私どもに泣きついて来られた方々の話を聞くと、まず共通しているのは、完全に業者まかせであるということです。ある程度、業者を信じざるを得ないのは分かります。ただ、厳しい言い方ですが、依頼主側の怠慢が原因だと感じることもよくあります。
「ウェブ制作」=「IT業者の専門分野」という誤解が見受けられます。ウェブをマーケティングツールとして活用するのなら、マーケティングのノウハウが必要です。
「IT業者の専門分野」ではなく、IT技術を駆使できる「マーケティング会社の専門分野」なのです。

業者を見極める方法
誰でもできる、ごく簡単な方法があります。それは「その業者のウェブサイトで実力を計る」という方法です。ウェブ制作を依頼するのであれば、まずその業者さん自身がどういうサイトを作っているのか確認してみるわけです。シンプルな方法ですが、これすらも怠って、電話帳から業者を適当に選んでいるようでは、効果がないままお金だけ取られても仕方ないでしょう。

では、何を基準にサイトを見ればよいのでしょう? 見た目の美しさではありません。今の時代、どんな業者さんでも、見た目はいかにもプロフェッシュナルな作りです(多分ですが……)。

私のコラムを読んでくださっている方なら、ある程度お分かりかもしれませんが、簡単に要点を挙げておきます。

集客能力があるか?(SEO)
SEO(検索エンジンが好むサイトを作り、検索結果の上位に意図的に表示させ集客する手法)で、トラフィック(訪問者数)に大きな効果があるのは、通常、上位5位まで。要するに、検索語が日本語であれば日本選手権で、英語であれば世界選手権で5位以内に入る実力が必要な厳しさなのです。
ところが、ほとんどの業者さんは「SEOできますよ!」と平気で言います……(溜息)。

本当に効果的なSEOができる業者さんなら、当然、自社サイトもSEOで集客しているはずです。
まずは、その業者さんのサイトが、どんな検索語で上位表示できるのか確認してください。検索エンジンで探し出せなかったり、誰も使わないマニアックな検索語でしか上位表示できないようでは、一次予選失格ですね。業者さんのレベルがくっきり現れる、かなり明確な判断基準です。

ページランク(PR)の値は?
以前紹介したPR値を確認するのも1つの指標になります(PRについては06年12月3週号を参照)。最低でもPR値が5以上でなければ、SEOの実践能力がない業者さんでしょう。

サイトへの訪問者数は?
訪問者のないサイトは、決して売り上げにはつながりません。おおまかにせよ訪問者数を簡単に確認できる、アレクサ(www.alexa.com/3月1週号参照)のトラフィック・ランキングからも、そのサイトの集客能力が分かります。
要するに、自社サイトで集客できるようにしていない業者さんが、依頼主のサイトを集客力のあるものにできるはずがないのです。多少は参考になったでしょうか?

2007年8月21日火曜日

「サイト更新の前に必読!(その2)」USFL連載その11(3月1週号)

11回目はUSフロントライン回3月1週号USFLに入っています。
コラム11回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回(2月3週号)は、サイトのリニューアルを考える際、トラフィック(訪問者数)の実状を把握していなければ、意味のある改善点が見えてこないことをお話ししました。そしてアクセス解析でよく耳にする「ヒット数」や「ページビュー」が、当てにならない数値であることも説明しました。
今回は引き続き、トラフィックを把握する方法についてお話しします。まずは、用語説明からです。

アクセス解析の訪問者数
アクセスしてくる訪問者のホスト(コンピュータ)数のことです。
IPと呼ばれる世界中のホストを識別するアドレスに基づいてカウントされます。インターネット回線によっては、ページを見る度に毎回別のIPとしてカウントされる場合もあり、必ずしも正確ではありません。その場合、クッキー(ウェブサイトからコンピュータに残されるテキスト情報)などを利用して、訪問者数を割り出す方法もあります。

セッション数
訪問者が最初にサイトを訪れてから出ていくまでを1セッションと呼び、それをカウントしたものがセッション数です。訪問者数と似ていますが、同じコンピュータからでも、サイトへの出入りを繰り返せばカウントされていきます。

何を指標とするか
アクセス解析の訪問者数からは" 何人"、セッション数からは" 何
回"、ページビューからは"何ページ"見てくれているかが分かります。これらを組み合わせて、総合評価します。 前回触れた通り、人間ではなく" ロボット"(ウェブデータを収集するためのプログラム)がウェブサイトを巡回しているため、無意味なカウントが含まれていることも忘れてはなりません。下手をすれば、これだけで計測値に何千、何万もの誤差が生じます。アクセス解析を行う場合、こうした"ゴミ"トラフィックをあらかじめ取り除く必要があります。優秀な解析ツールならそれが可能です。

アクセス解析ツール
有名どころでは、Urchin社の有料アクセス解析ツールがあります。我が社でも重宝していたのですが、
その優秀さ故か、2005年にグーグルに買収され、GoogleAnalyticsという無料ツールとして生まれ変わりました(www.google.co.jp/analytics/)。
このツール、はっきり言ってすごいです。分析できる情報量が半端ではありません。どのページ経路で閲覧した人が、コンバージョン(成約。つまりサイトの目的達成のこと)しやすいとか、多角的に細かく分析できます。
ただ細かすぎて、私たちSEO業者には、少し背筋が凍る情報も。訪問者が純粋な検索結果からそのサイトに来たのか、PPC(クリック課金型キーワード広告)から来たのかを詳細に教えてくれるのですが、つまりこれは、お金が入るPPC以外からのトラフィック量をグーグル側に教えることになるのです(汗)。
無償の解析ツールは、数え切れないほどあります。中には無償と引き換えに、強制的に無関係なサイトへリンクさせるものもあるので、ご注意を。世の中、「無料ただほど高いものはない」というところですね。

競合他社の状況を知る
競合サイトのトラフィック状況を知りたい場合は、どうすればいいでしょう? テレビの視聴率を測る有名なニールセン社のように、ウェブの世界でも、外部から状況を把握できるサービスが存在します。無料サービスもあり、その中で割りと正確と言われているのがwww.alexa.comです。世界中のサイトのトラフィック・ランキングが見られるので、結構楽しいですよ(笑)。ただし、必ずしも正確な数値ではないので、目安程度に考えてくださいね。

2007年8月3日金曜日

「サイト更新の前に」USFL連載その10(2月3週号)

10回目はUSフロントライン回2月1週号USFLに入っています。
コラム10回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

これまで何回かにわたり、ウェブマーケティングの手法を使ったウェブサイトへの集客法について書きました。今回は、実際にどの程度、集客できているかを知る方法をお話しします。

自分のサイトの現状を知る
仕事柄、ウェブサイトのリニューアル依頼をよく頂きます。「古くなったのでデザインを一新したい」「メンテナンス性を改善したい」「訪問者を増やしたい」といった理由が多いようです。ただし、ほとんどの場合、訪問者数がどの程度なのかも把握されていません。「売上が伸びない」
「問い合わせが少ない」という問題意識はあっても、「何となく訪問者が少ない気がする」という漠然と
した感覚に留まっているのです。ずばり、そんな状態でリニューアルしても、ビジネスは成功しないでしょう。自分のサイトが実際にどういうレベルにあるのかを正しく把握しなければ、改善点が見えてこないからです。事実、デザイン的な見た目以前に、致命的な問題を抱えているケースが多々あります。問題の正確な認識がなくては、改善も成果の検証も不可能です。

一日の訪問者は何人?
では、どうやって訪問者数を把握できるのでしょう? 現在、ほとんどのホスティング(ウェブサイトを公開するためのサーバー)には、何らかのアクセス解析ツールが付いています。それらを使えば様々な数値が計測できますが、一体どの数値が本当の訪問者数に相当するのか、分かりにくい面もあります。まずは、用語の正確な理解から始めましょう。

ヒット数
サイトへのアクセス数を計測する最も大まかな数値です。
ウェブサイトの閲覧は、そのページを構成する全ファイルをホスティングからダウンロードすることで可能になります。訪問者がウェブサイトを閲覧した際に、ダウンロードされたファイル数をカウントしたのがヒット数です。
あたかも1つのファイルに見えるウェブサイトでも、実際には、メインとなるHTMLファイルの他に、画像ファイルなど多数のファイルから構成されています。画像が10個使われているページが1回閲覧された場合、ヒット数は少なくとも10+1=11です。要するに、ヒット数と訪問者数は全く別物なのです。
過去に「うちのサイトは毎日千回以上もヒットしているのに、サービスの問い合わせがほとんどない」と相談を受けたことがありました。ウェブログ(訪問者の行動や情報の記録)を確認したところ、実際の訪
問者数は1日に30人にも満たず、しかもそのうち、人間の訪問者(後述)は5人以下と判明。問い合わせが来ないのも当然だったのです(苦笑)。

ページビュー
あるページが何回閲覧されたかを示す数値です。ページを構成している画像ファイルなどをカウントしないのが、ヒット数との違いです。ただし、ある一人のユーザーが多くのページを閲覧した場合でも、サイト全体のページビューは上がります。また、同一ページを更新して閲覧した場合でもカウントされるので、ページビューだけでサイトの良し悪しは計れません。

サイトを訪れる" ロボット"
そして、サイトを訪れるのは人間だけではないという事実も忘れないようにしましょう。数え切れないほどの" ロボット"がウェブを巡回しているのです。ロボットと言っても、もちろん、鉄やプラスチックでできた機械のことではありません(笑)。検索エンジンやスパム業者、そしてハッカーたちが、ウェブデータを収集するために使用しているプログラムのことです。プログラムを作り、人間の代わりにネットサーフィンさせているわけです。訪問者数を正しく把握するには、まず前提知識が必要なことがお分かり頂けたと思います。

2007年7月16日月曜日

「SEOかPPCか?」USFL連載その9(2月1週号)

9回目はUSフロントライン回2月1週号USFLに入っています。
コラム9回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

ビジネスの基本は集客から
本題に入る前に、今一度、原点に戻って考えて欲しいことがあります。それは、ビジネスを行う上では" 集客"が必須であるという事実です。例えば、新しくショッピングモールを建設するとします。
どんなに最新鋭の設備やデザインを施したとしても、もし砂漠のど真ん中に建てられたらどうでしょうか?誰も来ない寂れたモールになり、すぐにつぶれますよね。
ですから、普通はまず市場調査を行い、顧客層や人通りを配慮しながら、ロケーションを選ぶわけです。
内装や店舗の看板をどうするなんて話は、もっと後で考えても構わないわけで、まずは良いロケーションの確保が最優先です。
これは、オンラインビジネスにもそのまま当てはまります。成功するウェブサイトにするためには、まず、できるだけ多くの人に見られるようにすることが大前提なのです。デザインやロゴをどうするかという話は、多くの人にサイトが見てもらえる環境を用意できて初めて意味を成すわけです。

砂漠のモールにならないために
ちなみにウェブの世界で人通りの多い場所とは、どこだと思いますか?
それはずばり、検索エンジンを使って表示される、検索結果の1ページ目です。だからもし、検索結果の10
ページ目に、自分のサイトが表示されたとしたら? 
もはや砂漠の中ですね(汗)。仮に5ページ目だとしても、どこか田舎の畑の中で間違いないでしょう。
さらに言うと、どの検索語で上位表示されるかも非常に重要です。
自分のサイトに来て欲しい層が、どんな検索語を使っているのかを的確に見つけ出すことが必須です。
誰も使わない検索語で1位に表示されても、単なる自己満足に過ぎません。

SEOとPPC
本欄では以前、SEO(検索エンジン最適化)とPPC(検索キーワード連動型広告)といったウェブ上での集客手法を紹介しました。SEOは、検索エンジンが好むサイト作りを行うこと。PPCは、グーグルやヤフー等が提供するサービスで、検索エンジンに広告費を払い、自分のサイトのテキスト広告をあたかも検索結果の一部として表示させる方法です。
どちらも、意図した検索語において検索結果の上位表示を狙うという目的は変わりません。
しかし、PPCはクリックされる度に課金されるので、大企業でなければ予算的な限界があります。
SEOも、業者へ依頼するのが常ですから、別途サービス料金が発生します。要するにどちらも、有効な集客手段である反面、コストがかかるということです。

どちらを行うべき?
理想はもちろん、両方行うことです(オンラインマーケティングに本気で取り組む米系企業であれば、通常は両方やっています)。ただし予算に余裕がなく、二者択一の場合は、見込めるリターン(集客数)を考慮して、選択しなければなりません。
例えば、ビジネスに有益な見込み客層を集客する検索語が、あまり使われていなかった場合、集客する以前に最低限のコストがかかるSEOよりも、集客数にコストが比例するPPCを選択すべきかもしれません。
逆に、有効な検索語が頻繁に使われている場合、SEOの方がPPCより安上がりになることが容易に推測できます。要はケースバイケースです。SEOを仕掛けた際に見込めるトラフィックの増加とコストの関係から判断すべきです。

2007年6月30日土曜日

「Googleで遊ぼう!」USFL連載その8 (1月3週号)

8回目はUSフロントライン回1月3週号USFLに入っています。

コラム8回目 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)
前回(1月1週号)は「ページランクと検索エンジンスパム」について説明しました。今回は、カタイ話題からちょっと離れて、少し息抜き。グーグルの検索エンジン以外の無料サービスを取り上げます。

フリーメール Gmail
まずはGメール。グーグルのフリーメール・サービスであるGメールは2004年の4月1日(エープリルフール)に発表されたため、当初は冗談かと思われていました(笑)。特徴は、それまでの常識を破る1GBの容量(現在は2GB以上)。また、マイクロソフトやヤフーのフリーメール・サービスより、うまくスパムを防ぎ、使い勝手も勝っていると思います。初期Gメールは完全紹介制だったため、ウェブ上のオタクたちは、「Gメール紹介状」を手に入れるのが自慢だったり、お金を出してまで、加入したがったりしました。
現在、アメリカ国内ではmail.google.comに行けば、グーグルが携帯電話に招待番号を送ってくれます。もしくはGメールアカウントを持つ友達から招待状をもらえば、誰でも簡単に加入できます。

無料の国際電話
チャットとインターネット電話が無料で使えるグーグルトーク。GメールアカウントとグーグルトークがインストールされたPCにヘッドセットを用意し、そこそこ速い回線(ダイヤルアップは駄目)さえあれば、誰でも無料で利用できます。日本にいる友達や家族との"国際電話"がタダなのです。まだベータ版とはいえ、音質はS k y p e(最近話題の無料電話サービス)と同等以上で、使いやすさも申し分なし。ちなみに我が社では、日本のクライアントさんとの電話で重宝しています。

共有機能付きカレンダー
無料で利用できるウェブベースの便利なグーグルカレンダー。特徴の一つは、個人やグループと予定を共有できること。キーワードや予定、名前を使ってカレンダー内を検索可能で、Outlookからの情報もインポート可。スケジュール管理には充分な機能を持っています。ただし、「すべての情報を共有する」に設定してしまうと、スケジュールが一般公開されるので、ご注意を。無料ただ

ほど高いものはない?
カタイ話題はお休みと言ったものの、やはりちょっとだけ触れてみます(笑)。
グーグルは、便利で素敵なさまざまなサービスを、なぜ"無料"で提供しているのだろうと思ったことはありませんか? 一つの答えとして、おそらくグーグルは、PPC(Pay Per Click/クリック課金型広告の略で、検索語に連動して表示させるテキスト広告)をより広範囲に表示したがっていると考えられます。
そして、コンピュータ業界のマイクロソフト離れを図っているという見方もあります。実際、グーグルは、ベータ版とはいえ、マイクロソフトのワードやエクセルに代わるウェブベースのソフト(Google Docs & Spreadsheets)も提供し始めました。現在のコンピュータ業界は、ウィンドウズなどOSから始まり、およそマイクロソフトの製品がないと満足な環境にはなり得ません。
グーグルは、マイクロソフトに依存しなくてもよい、ウェブベースの世界を展開しようしているのかも。
ブラウザさえあれば、誰でも快適かつ安価に各種サービスが使える環境を目指していると好意的な解釈もできますが、一方では、世界制覇をたくらんでいるとの見方もあります。どちらが正解か今は分かりませんが、展開を見ているのが、とっても楽しいです。

2007年6月16日土曜日

「ページランクと検索エンジンスパム」USFL連載その7 (1月1週号)

7回目はUSフロントライン回1月1週号USFLに入っています。
コラム7回目 は、このブログ内でお読み頂けます。


やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)
前回(は、グーグルのページランク(PR)について説明しました。PR値が高いと、検索結果内の順位も高くなります。今回は、このPRを意図的に操作するスパムについてお話ししたいと思います。

グーグル爆弾を体験!
www.google.comで「failure」(失敗)を検索してみてください。第1位に表示されるサイトは何か
予想できますか? ぜひお試しあれ。検索言語対象を「英語」に設定していれば、画面右に「W h y
these results?」というグーグル社の広告も一緒に表示されるはずです。それを読めば、なぜその検索
語で"あのサイト"がトップに来たのか分かります。
これはPRの一種の弱点をついた技です。PR値を操作して、検索結果の上位に表示されるように
しているのです。ちなみに「google bombing」なんて呼ばれています。

グーグル創立者の誤算?
前回触れたグーグルの創立者が書いた論文(?)の中に、このようなPRの操作について触れた面白い箇所があります。曰いわく「PRは、まず商用操作され得ない。最悪、(PRの)評価の高いサイトからリンクを買うことはできるが、お金がかかるので、さほど心配は要らない」と自信を持って断言していました。
しかし、近年では、検索結果の上位にサイト表示させることの意味を知らないサイトオーナーさんはいないに等しくなりました。そのため、色々な手を使ってPRを操作し、値を高めようとするSEO業者さんも存在します。そうした中、PR値を上げるため、予想された" リンク買い"の他にも、ひと昔前によく見かけたリンクファーム(PRを上げるためのリンク集の量産)、相互リンク(お互いにリンクを貼り合う行為)、コメントスパム(ブログへの強引な書き込み)など様々な手法が見られます。
まあグーグル創立当初は、検索エンジンがここまでビジネスに重大な影響を与えることを予測し切れてなかったのかも。もしかしたら、創立者自身が一番驚いているのかもしれません(笑)。

グーグルのスパムへの取り組み
グーグルのエンジニア軍団は、PRが操作されないように対抗策を練っています。つい最近、グーグルの有名なエンジニアの一人、マット・カッツはある会議で「相互リンクは、(PR値を上げる手法としては)全く無意味になった」という発言をしました。また去年あたり、コメントスパム(自社サイトのURLを強引に多数投稿し、リンク数を増やす検索エンジンスパム)に対抗すべく、グーグルは、リンクのHTMLタグに「rel="nofollow"」が入っていれば、PRのリンクとしてカウントしないことにしました。他の検
索エンジンも同じようにしています。今では、主なブログソフトも、書き込みの中のハイパーリンクに
このタグを入れ、検索エンジンがそのリンクを自動的に無視するようにしているようです。PR上げ作戦
によく使われていたwww.wikipedia.orgも、同じくこのタグを使うようになったそうです。
色々な検索エンジンスパムに対抗しているグーグルですが、それでも、検索結果を手動でいじる・操作するのはポリシーとして避けています。商用目的に操作できてしまうと、検索エンジンの本来の意味を失うと彼らは信じているからです。私もそう信じています。しかしヤフーはなぁ……。

2007年1月5日金曜日

「Googleの誕生」USFL連載その5

5回目はUSフロントライン誌の11月1週号(「ID窃盗の恐怖その2 」号)に入っています。

コラム「Googleの誕生」 は、このブログ内でお読み頂けます。

やさしく解説 ウェブマーケティング
レイア・ワークマン(ACE Inc.)

前回は、90年代半ば、メタタグなどに頼った単純な仕組みの検索エンジンのお話でした。

これから数回に渡って、検索エンジンの世界とインターネット利用のあり方を大きく変えたGoogleと、その天才的発明についてお話しします。

Googleの創立者たち

1995年、スタンフォード大学にはコンピュータ工学の院生として、24歳のラリー・ペイジと23歳のサーゲイ・ブリンが在籍していました。ペイジの父はコンピュータ工学と人工知能の大学教授、母はコンピュータ・プログラムを大学で教えていました。一方、6歳の時、家族と共にロシアからアメリカへ移住したブリンは、現役の大学教授で数学者である父と、同じく数学者でNASAに専門家として雇われている母から、数学とロシア語を教わったそうです。
ブリンの両親は、彼が幼くして数学の天才であることに気付いていたとか。

出会った当時、彼らはいつも口論ばかりして、それほど仲は良くなかったそうです。しかし二人にはある共通した夢がありました。

それは、莫大な量のデータから関連性の高いデータを抽出すること。
つまり二人は、検索エンジンのあるべき姿を追い求め、やがて、誰も考えつかなかった方法を編み出すのです。

96年に二人は、学内の安い環境を使い、Googleの前身プロジェクト「BackRub」を始めました。

「BackRub」は、TITLEタグやメタタグではなく、ウェブページへのバックリンク(そのページへのリンク)を重視したもので、学内では大好評でした。

98年になると、自費で1TB(1000GB)のサーバーを購入。学生寮のペイジの部屋で、Google初のデータセンターを開設しました(当時「Google」という名称だったかどうかは不明です)。

彼らは様々なポータルサイトや団体に、自らの検索技術を売り込もうとしましたが、どこも興味を示しませんでした。唯一、関心を示したのが、友人であったYahoo!の創立者、デビッド・ファイロでしたが、それでも「大きくなったら出直して来い」と言われたそうです。しかし2年後、本当に出直してYahoo!に検索技術を提供するようになったからすごい!

ちなみに数年前まで、Yahoo!の裏ではGoogleが使われていたのをご存知ですか? Googleの検索結果で上位表示を達成すれば、必然的にYahoo!でも上位表示される、SEOの担当者からすると素敵な時代でした(笑)。

最初の投資家

ペイジとブリンが起業を決心したのは、当時、彼らの検索技術を使ってくれる相手探しに失敗したからだそうです。二人は投資家を探すべく、まず彼らの大学関係者の友人で、Sun Microsystems創立者の一人、アンディ・ベクトルシャイムに持ち掛けました。ある日、二人は、ベクトルシャイムに検索技術のデモを行いました。しかし、超多忙を極める彼は「難しい話はさておき、可能性を感じた」と、あっさり10万ドルの小切手を渡し、さっさと出掛けてしまったそうです。

余談ですが、「小切手の宛先は?」と聞かれて「Google」と答えたけれど、まだ起業できていなかったためデポジットできず、法人登記するまでの何週間か、その小切手は机の中に眠っていたとか(笑)。



その後、親戚や友人からも資金をかき集め、起業したのですが、何と最初のオフィスは友人宅のガレージだったそうです。ちなみに会議テーブルは卓球台。

天才軍団のそんな微笑ましい生い立ちにふれていたら、スペースが無くなってしまいました。

次回の天才的発明に迫ります。